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伊藤和央 ブログ

オランド大統領登場の背景そして日本への影響は?

  • 2012-05-14 (月)

 2012年は選挙の年といわれています。

 1月の台湾総統選挙を皮切りに、日本への影響も大きい選挙が目白押しです。

 台湾では馬英九氏が蔡英文氏との接戦を制して再選を果たしました。中国との親和路線が継続されることとなりました。

 4月にはロシアの大統領選挙、もちろんプーチン氏の勝利を疑う予想はありませんでしたが、約64%の得票率で順当勝ち、少なくとも任期6年トップとして君臨することになりました。

 プーチン氏はまだ59才、再選されれば2期12年、豊富なエネルギー資源等を背景に、まさに脂の乗り切った政権運営がなされることでしょう。

 そして、4月22日に行われたフランス大統領選挙です。オランド氏と現職のサルコジ氏との決選投票となり、5月6日にオランド氏が僅差の勝利をものにしました。得票率51.6対48.3でした。

 そもそも、第1次投票においてサルコジ氏の得票率はオランド氏の得票率を下回りましたが、現職大統領の得票率が第1次投票で対立候補を下回ったのは、戦後初めてだったということです。

 サルコジ氏の不人気を物語っています。

 では、何故サルコジ大統領が不人気だったのでしょうか。

 それは、偏に経済運営の失敗といわれています。

 サルコジ氏は「メルコジ」というあだ名を付けられるほど、ドイツメルケル首相と財政緊縮路線で共同歩調をとってきました。

 2007年に大統領に就任して以来、公務員の削減や、年金支給開始年齢の引き上げ等の緊縮政策を提案してきました。

 痛みを伴う改革を国民に求めたわけです。

 しかし、就任以来失業率がじわじわと高まって10%近くで推移し、しかも、ここ11カ月間連続で増え続けています。今年3月の失業者数は約312万人になってしまいました。

 2005年時点では11%だった失業率が、ほぼ一貫して改善され、2011年では6%を切っているドイツとは好対照になっています。

 現在フランスでは、労働コストの高さのために、国外での生産比率を引き上げる企業が増え始めているといわれています。

 実際、フランスの単位労働費用(労働者の報酬/GDP)は、2000年からの10年間に22.7%も増えました。ドイツが5.8%しか増えなかったのと比べると歴然とした差になっています。

 JETROの発表にもあるように、ルノーが今年2月、モロッコに組立工場を開きましたが、これも、こうした流れの中のものでしょう。

 こうした状況で登場したのがオランド候補でした。

 オランド氏は選挙後の勝利宣言の中で、「ヨーロッパでは、もはや財政緊縮策だけが選択肢ではない。私の役割はヨーロッパに経済成長と雇用の促進、それに繁栄の道を与えることだ。」と述べました。

 オランド大統領の登場で、フランス、ドイツ主導で緊縮財政の方向でまとまっていたEUに大きな一石が投じられることになるかもしれません。

 EUの金融不安が高まるにつれ、じわじわとまた円高が進んでいます。

 ギリシャ、スペイン、イタリアといった財政危機を抱えたEUの舵取りが今後どうなるのか、僅差の投票結果から苦渋の選択であったのでしょうが、フランス国民が選択した緊縮財政から積極財政へのチェンジは、EUのみならず日本にも今後少なからぬ影響を与えることになるでしょう。

GWの後は天体ショーに期待しましょう!

  • 2012-05-07 (月)

今年のゴールデンウィーク(GW)後半は散々な気候になってしまいました。

特に、桜の満開の時期を迎えた東北地方、昨年の大震災以来2年越しの観光シーズンで期待を膨らませていたのに残念な結果になってしまいました。

しかも、北海道、岩手、宮城、福島の太平洋側の多くの地点でGW中の最高降雨量を記録し、仮設住宅に土砂が押し寄せたり、避難勧告が出された地域もあったというおまけまでついてしまいました。

地元の方々はもとより、折角復興支援の思いも込めて東北地方を訪れた方々に対しても素晴らしい春の東北の風景をお届けできずに大変残念な思いです。

 

関東でもGW後半は、5日を除いて天候に恵まれませんでした。その最後を飾るように、6日午後の突然の天気の変化に驚かされました。

東京では15時頃から激しん雹(ひょう)交じりの雨が降りましたし、茨城、栃木、埼玉、群馬の各県では午後竜巻に見舞われ、約500棟の建物が損壊したほか、つくば市では中学生が亡くなるという痛ましい災害まで起きてしまいました。

 

散々なGWではありましたが、一方で5日、6日の両日、東京ではスーパームーンを夜空にはっきり見ることができました。

月と地球との距離が近い時と満月とが重なると通常の満月より大きく、明るく見えることからこのように呼ばれています。

実際、5月5日の満月は、いつもより14%大きく、明るさは30%増しだったそうです。

東京のみならず各地で見られましたので、ご覧になった方も多いかと思います。

 

月の軌道は楕円なので、地球に最も近づく時と遠ざかる時があるわけですが、今回は最も地球に近づくのが、日本時間で6日の昼頃、満月が6日ということで、5日、6日の夜がほぼ満月でスーパームーンが見られたという訳でした。

このスーパームーンはそれほど頻繁にみられるものではなく、最近50年間で今回は5回目でした。

実は大変珍しいことに昨年3月19日もスーパームーンでした。2年続けてスーパームーンだったということです。

ただ、さすがに大震災直後でもあり、それどころではなかったのでほとんど話題になりませんでした。

 

次の天体ショーは何といっても、5月21日の金環日食でしょう。

 今回は、九州地方南部、四国地方南部、近畿地方南部、中部地方南部、関東地方など広範囲で金環日食を見ることができます。

 金環日食では、太陽がドーナツ状に見え、曇りのときのようにあたりが薄暗くなる様子を観察することができます。

 金環日食が観察できるのは、1987年9月23日に沖縄本島などで見られて以来のことです。

 通常「皆既日食」や「金環日食」は大変狭い範囲でしか見ることができないため、今回のように日本のこれだけ広い範囲で見られるというのは珍しい現象ということになります。

 次に金環日食が見られるのは、今から18年後の2030年6月1日で、しかも、北海道でしか見られないということですので、今回のチャンスは是非ものにしたいものです。

 当日の天気をひたすら願うばかりですね。

1987年9月23日の金環日食

 家電量販店などに行っても天体ショーを見るためのグラスなどが売っていますが、皆さんくれぐれも裸眼で見ないように気を付けてください。

イタリア・モンティ首相は救世主となれるか

  • 2012-04-30 (月)

3月27日から30日まで、マリオ・モンティ・イタリア共和国首相が来日されました。

この間、野田総理、安住財務相はじめ政府要人との会談、日本経済新聞社と駐日イタリア大使館主催の特別講演会に出席するなど精力的に行程をこなされました。

 

モンティ首相は英国「タイム」誌に欧州で最も重要な人物とも称された、時の人です。

ギリシャ危機に続きイタリアが財政破たんに陥れば、欧州はもちろん世界経済に甚大な影響を及ぼしかねず、それを回避するために登場した人物だからです。

 

経済学者としては輝かしい実績があるものの、政治家ではなく、しかも1943年生まれの69歳と高齢でもあり、果たしてその手腕は?と注目されています。

特別講演会では次のような趣旨のことを述べられました。

 

『2013年に財政収支を均衡させるという目標を実現するためには、プライマリーバランスでGDP5%に相当する黒字が必要となる。そのため、年金制度を欧州において最も先進的で持続可能なものに改革した。2017年までに退職年齢を男女とも67歳に引き上げ、退職年齢を平均寿命に連動させることで、高齢化社会への対応を図っていく。

また、成長率向上のための措置として、企業の資本変更に対する税制上の優遇措置、労働コストに占める税金部分の引き下げ措置等を導入した。

これらの措置はすべて超党派の政府だからこそ実現可能であった。様々なしがらみ、特権や制限に対して、現政権は真っ向から取り組んでいる。また、会社設立に関する行政手続きを簡素化することで企業に優しい環境を実現する。先般提案した労働市場の改革によって、既得権益で保護された労働者と非正規労働者との間の垣根を取り除きたいと考えている。また、企業による雇用、解雇を容易にすることによって、景気後退局面で労働力を柔軟に調整できるようにしたい。』

 

そのまま日本でもやるべきことが多いのではないかとの印象を持ちます。

 

イタリア在住の作家の塩野七生氏が文芸春秋4月号に寄稿されています。

その中で、モンティ首相の政権担当三か月の成果は“目ざましい”と評されています。

『何も新しいことをしようとしているのではない、これまでの内閣が必要としながら政策化できなかったことを実現しようとしているだけである。次の選挙でも当選したいといった政治家としての色気がないため、限られた任期に自ら立てた目標の実現に邁進できることが強みでないか。』と見立てられています。

 

政治決断をしやすくするために、直接選挙による大統領制等強い権限の付与必要であるとの論が盛んです。もちろん制度も大切ですが、地位を守ろうとするのではなく、やり遂げるという本人の強い意志、覚悟が最も大事なのではないでしょうか。

 

労働者の解雇要件の緩和や年金改革に対しては当然ながら労働組合の猛反発にあっています。その結果としてモンティ首相は、当初案の緩和を余儀なくされています。

 

イタリアでは2015年にミラノで万国博覧会が開催されることになっています。

果たして、どのような経済状況で主催国イタリアがこれを迎えるのか。

モンティ首相の国を思っての覚悟、その下での決断がどれだけ全うできるか。これによるところが大きいことでしょう。

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